PSMA-PET検査は、前立腺がん細胞に特異的に発現するPSMA(前立腺特異的膜抗原)に結合する放射性薬剤(Ga-68標識)を用いて、がんの位置や転移の有無をPET/CTで高精度に可視化します。
この検査により、従来の検査では捉えきれなかった小さな転移や再発病変も早期に発見できる可能性があり、治療方針の決定や不要な治療の回避に貢献することが期待されます。
当院では、2024年1月のPSMA-PET導入以来、毎月約20件以上の検査依頼を、北海道から九州まで全国各地の医療機関から受けております。各医療機関からもスムーズな予約対応、検査後の迅速な画像・レポートのご提供は大変信頼を得ております。
- 微小な転移や再発を高精度で発見
- 従来検査(CT・MRI・骨シンチ)に比べ感度・特異度が圧倒的に高い
- 全国の医療機関から紹介が集まる読影体制とスタッフの連携
従来検査との比較
| 骨シンチ・CT検査 (n=152) | PSMA-PET/CT検査 (n=148) | ||
|---|---|---|---|
| 転移がんの検出精度 | 65% | 92% | |
| 感度 | 38% | 85% | |
| 特異度 | 91% | 98% | |
| 被ばく量 | 約19.2mSv | 約8.4mSv | |
出典:Hofman MS, et al L.ancet. 2020;395(10231):1208–1216.
- 前立腺がんと診断され、手術、放射線、ホルモン治療を予定している症例。特にGS(グリソンスコア)8以上、PSA値20ng/ml以上
- 前立腺癌疑いと診断され、治療を開始/検討している方
- ホルモン治療/放射線治療後、前立腺が残っていて、PSA最低値と比較し+2.0以上の方
- 前立腺を摘出した後で、PSA値が0.2以上の方
- CT、骨シンチなどの従来の画像診断では転移が認められない去勢抵抗性前立腺がん症例
当院での成績
全摘後生化学的再発68Ga-PSMA-PET陽性率(2025年10月)
| PSA値 (ng/mL) |
陽性率 (人) |
陽性率 (%) |
|
|---|---|---|---|
| ~0.19 | 0/6 | 0 | |
| 0.2~0.50 | 13/46 | 28.3 | |
| 0.51~1.00 | 8/14 | 57.1 | |
| 1.01~ | 20/22 | 90.9 | |
PSMA-PET検査は、去勢抵抗性前立腺癌に対するPSMA標的療法前の適用判断において2025年11月12日より保険適用となりました。
適用条件などの詳細については、治療経過等を把握している医療機関(主治医)へご相談ください。
- ご予約・事前問診
- 来院・受付・着替え
- 放射性薬剤の注射
- 安静時間(約60分)
- 撮影(PET-CT装置)
- 終了・お帰りの準備
所要時間:約3時間
検査は安全ですか?
使用する放射性薬剤(Ga-68)は、必要最小限の放射線量であり、自然に体外へ排出されます。一般的に副作用はほとんど報告されていません。医師の管理のもと、安全に検査を行います。[米国食品薬品局(FDA)2020 年 12 月 1 日承認済み]
痛みはありますか?
注射による軽度の痛み以外、大きな痛みはありません。検査中は横になっているだけですので、安心してお受けいただけます。
検査前に食事制限や事前準備はありますか?
特別な食事制限はありません。ただし、検査当日は時間に余裕をもってご来院いただき、金属類を身につけないようご協力をお願いします。
検査中に動くことはできますか?
全身を撮影するため、検査中に動いてしまうと画像が乱れる恐れがあります。その為、なるべく体を動かさないようお願いします。
支払いは現金のみですか?
クレジットカードもご利用いただけます。
原発巣、転移巣への集積の体積は測定可能ですか?
可能です。当院では専用ソフトを用い、PSMA陽性腫瘍の体積、腫瘍全体のSUVmeanを測定したレポートを画像診断報告書に添付しています。
後期相の撮像はありますか?
必要な場合に行います。例えば集積が尿管かリンパ節かの区別がつきにくい場合、再発転移診断で集積が認められない場合など、一回目の撮像終了後、あらためて追加撮像を行うことがあります。
下記に該当される方は検査を受けることができません。
- SCS(脊髄刺激療法)で使われる体内埋め込み神経刺激装置を装着されている方
- バリウム検査後から 1 週間以内にご受診の方
下記に該当される方は、検査を受けられない場合がございます。事前にお申し出下さい。
- ICD(除細動器)、ILR(埋め込み型ループレコーダー)、ICM(埋め込み型心臓モニタ)等の体内植え込み電子機器を装着されている方
- DBS(脳深部刺激療法)で使われる体内埋め込み神経刺激装置を装着されている方